「唐津屋(唐津屋)は、近所にある小さな八百屋さん。唐津(佐賀県)の採れたて野菜、果物、生花などを売っているお店だ。
値段はスーパーよりちょっぴり安く、何より名物おじちゃんがとっても魅力的なお店。今日もいつものようにお客さんと冗談まじりにお喋りしている。おじちゃんはたぶん70代。細身でスラリと背筋が伸びていて若々しい。
前のお客さんが帰ったら、今度は私がお喋りの相手だ。お盆はいつも田舎の草刈りをしているというおじちゃん。今日はおじちゃんの強運話を2選。
その①草刈りで熱中症
数年前のこと、猛暑の中ひとりで田んぼのあぜ道の草刈りをしていたとき、急に目がくらみ息が苦しくなり、呼吸困難になってしまった。「これは死ぬかもしれない、危ない!」と思ったおじちゃんは、近くに止めてあった軽トラまで何とかたどりつき、車のドアを開けエンジンをかけた。そこで倒れ込んで意識を失ったという。ところが幸運なことにカーエアコンが作動し、おじちゃんの首あたりにエアコンの冷気が吹き付け、おじちゃんはしばらくして意識を取り戻したという。
その②草刈りで川に転落
これも数年前のこと、ひとりで川のほとりの草刈りをしていたとき、くぼみに足がはまってしまい体勢が崩れた。背中に草刈り機を背負っていたため、そちら側に倒れると草刈り機でケガをすると思い、とっさに反対側へ傾いたところ転倒してしまった。すると、また息ができない。おじちゃんは川に落ちてしまっていたのだ。幸い顔が川面に向いていたので、アップアップしながら呼吸をし、体勢を直そうとするがなぜかできない。「なぜか?!」とパニックになりつつおじちゃんは背中に草刈り機を背負っていたことを思い出した。急いで背中の草刈り機を外し、おじちゃんは九死に一生を得たという。
「おじちゃんの強運はすごいけど、もう草刈りはひとりでやらないでね!!」と私は念を押したが、最近では草刈りをやる人がいなくておじちゃんがひとりでやるしかないそうだ。
このお盆もお店を休んで田舎で草刈りをするというおじちゃん。危険な強運話はもうこれっきりにしてね!!